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春日神社(口酒井)

口酒井1丁目








本殿 

 
 春日神社は天児屋根命(あめのこやねのみこと)を祭神としています。奈良の春日大社はさらに鹿島神宮から武甕槌命(たけみかづちのみこと)を勧請してお祀りしていますが、武甕槌命は白鹿に乗って現れたとされ、そこで春日大社周辺の奈良公園では鹿が神鹿として特別に保護されています。春日大社を本社とする春日神社は全国に約1000社あるといわれ、伊丹には4社あります。 
 口酒井村はかって猪名川と藻川の分流によって生じた中州にあり、そこに春日大明神が祀られていました。口酒井の古文書には「奈良春日大明神を初めて勧請す」 とあり、1580年(天正8)現在地に移されたとしています。
 奈良春日大社は藤原氏の氏神社であり、藤原氏の荘園が橘御園荘として尼崎市北部から、口酒井の地域まで拡がっていたと考えられます。1535年(天文4)に伊丹城主の一族である伊丹衍清(のぶきよ)が奈良春日大社に石燈籠を寄進しています。
社蔵に1641年(寛永18)と1858年(安政5)の2枚の棟札が残されています。寛永の棟札は本殿建立時のもので、大工「鴻池住橘朝臣松原三右衛門貞吉」とあり鴻池の宮大工である松原氏一族が建てたことが分かりました。建築年代のわかる神社本殿としては市内で最も古いものです。
 同社の本殿は、1976年(昭和51)3月23日に県の有形文化財に指定されました。屋根は、切妻造で左右に反りのある照り屋根で妻入りとなっています。向拝があり丹塗で彩色豊かで、仏教形式が強いものです。また、井桁の上に四本の柱を立て、平面は方一間になっていることから、一間社春日造といわれています。この精密な構造は、江戸時代の貴重な建築物で覆屋に納められています。また、安政の棟札は、本殿修理時のものであります。その他神社には、燈籠・1796年(寛政8)や狛犬(台座)・1814年(文化11)などの石造物もあります。




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