a.正覚院は天平年間(729〜749)に、僧行基が開いたと伝えられ、昆陽寺の塔頭の一つです。昆陽寺の参道を南へ行った東側にあります。天正の戦火で焼失した後再建されましたが、老朽化したため1979年(昭和54)に現在の本堂に建て替えられました。境内には国学者夏目甕麿の墓があります。また、隣接する遊園地に、幕末の国学者加納諸平(夏目甕麿の子息)と、弟子で幕末の国学者伴林光平の歌碑があります。
「こをだにと 折とる袖に 且落ちて 露よりもろき 玉つばきかな」
(加納諸平)
「分来てし 其世は夢と 成りぬるを 何たとらるる 猪名のささ原」
(伴林光平)
b.閼伽井は、正覚院の南側の公園にあり、僧行基が掘ったと伝えられています。「あか」とは梵語で水、特に仏前に供える水のことをいい、昆陽寺付近の地を「閼伽井」と呼んでいたことから、ここにある井戸が「閼伽井の井戸」と呼ばれてきました。大変霊験豊かな水をたたえていたことが記録にあって、昔は「ほうそう」に効くということで飲む人がいたということです。
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