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 酒井村の名が初めて史料にあらわれるのは、鎌倉時代の嘉元二年(1304)といわれています。猪名川の東岸に位置する当地区は、古くは猪名川の西岸、すなわち猪名川と藻川の中洲にできた村でした。
 天正八年(1580)、村は川の東に移転し、同時に氏神春日大明神をこの地に勧請したとの記録が残されています。おそらく大洪水による移転であろうと考えられ、その後、かつて村が存在した中洲の地域は古酒井と称されました。
 現在伊丹市口酒井といわれる地域は、この絵図が作成された江戸時代には摂津国川辺郡酒井村と称され、そのが口酒井村となったのは明治六年(1873)のことです。同二十二年には口酒井村ほか七か村が合併して神津村が成立し、口酒井はそのなかの大字となりました。昭和二十二年(1947)以降伊丹市に属し、現在に至っています。
 猪名川流域の酒井村は不安定な耕地が多く、荒地となるたびに改めて開発され、たゆみない営みの上に現在の口酒井が存続しています。村の姿は変わりますが、猪名川の風のように、変わらない大切なものがあるはずです。



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