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下から見上げた治郎ヶ山

隣地から眺めた薬師山

昔の面影を残す池の坂

伊丹の町は平地だから、山とか坂はないと思っていませんか。ところがあるんです。
幕末の古地図を見ると、郷町の北端と南端に山が記されています。どちらも村重の時代に惣構えの砦として利用されました。
惣構え北端の虎口は北ノ口と言われ、惣構え内側から見て虎口の右側に治郎ヶ山(北本町1丁目)の表示があります。現在は共同住宅敷地ですが、下から見ると切り立った崖で、ここを山と言っても違和感はありません。
一方惣構え南端の砦であった鵯塚には薬師さんが祀られていることから、古地図ではこの塚を薬師山(伊丹7丁目)と記しています。ここも私有地の共同住宅敷地になっており、立入ることは出来ません。隣地から眺めると、こんもりと茂った塚が確かに山のように見えます。
坂についてですが、まず誰もが知っている旧西国街道の伊丹坂(北園1丁目〜春日6丁目)があります。猪名川沿いの低地から伊丹台地へ登る坂で、10m程の高低差があります。当時荷車を押して上がるには難所であったことでしょう。
緑道が国道171号線に突き当たる手前でコニカミノルタの敷地と自然居士の墓がある畑地の間を登る坂道があります。この坂(高台5丁目)は通称“ゆうれい坂”と呼ばれています。今も常緑樹が道路に覆い被さるように茂り、陰気な感じがします。ゆうれい坂と言われるのも頷けます。
郷町から東側へは高低差が大きいので東へ抜ける道路は当然坂道になります。
古地図によると北からスベリ坂(北本町1丁目)、雲正坂(伊丹1丁目)、ハセンドウ坂、池ノ坂、仁右衛門坂があります。スベリ坂、雲正坂は現在も残っていますが、道路の拡幅などにより当時の様子とは異なります。
ハセンドウ坂、仁左衛門坂は鉄道敷設造成工事等により、消滅しています。
大坂道に面した旧裁判所跡の有岡公園から東方向に下り、有岡小学校方面に至る道に池ノ坂(伊丹5丁目)があります。 2m程の細い道が水路に沿ってS字状にカーブして下っています。附近の様子からみて拡幅等の改修はされず、昔のままの形状で残った道であると思われます。


 
 (松田 記)

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