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猪名野神社の参道から拝殿の手前に、これから先は神域であることを示す結界の注連柱が建っている。 右側の柱には「修理」、左側の柱には「固成」の文字が刻まれている。
この四文字は古事記の冒頭に出てくる言葉であり、先ず読み方はしゅうりこせい。「修理=しゅり」が正しい読み方だ、とこだわる方もおられるが、広辞苑では、“しゅーり(すりとも) 1、修繕、なおし 2、修理職(しゅりしきの略)、現代語読みでは、修理(しゅうり)=繕いなおすこと。修繕”とある。何れの読み方でも意味は同じ修繕を意味するのであれば、現代の慣用語での発音で上等である。修理固成の意味は<この漂える国を整えかため完成させよ>。もう少し分かりやすい言葉で意訳すると、『地面はまだ固まっていない、頼りない浮漂の様に漂えるくらげのような状態なので、しっかりした国に造り直しなさい』。…と記されている。

猪名野神社の注連柱に揮毫された杉浦重剛(しげたけ)は、教育家・思想家。昭和天皇の皇太子時代、弟宮の秩父、高松兄弟と共に帝王学の一環として倫理を進講した。注連柱には「大正九年五月奉納」の銘がある。




 (亀井 記)

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