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皆さんは稲野小学校の南東隅にお地蔵さんの祠があるのをご存じですか。
その祠の中には「首切り地蔵」と共に左隣りには『庚申祭所』と刻まれた石の碑があります。
この「庚申」というのは古い暦の干支(えと)のうちの庚申(かのえさる)の日をさし、60日ごとに巡ってきます。

中国の伝説によればこの日に人間の体内に潜む『三尸(さんし)の虫』が、人が眠っている間に体外に抜け出して天に上り、天帝にその人の所業を報告します。
するとその内容に応じて寿命が削られるといいます。
そこでこの虫が体外に出るのを防ぐため、庚申の日には眠らぬように徹夜で過ごすのです。
それは平安時代からの風習で「枕草子」にも眠らないために歌を詠んだりしたことが記されています。
なお三尸の虫を抑える力を持つ青面金剛(しょうめんこんごう)が祀られている碑もあります。

余談ですが、昆陽地区に庚申の日は徹夜で過ごす風習があったらしいと聞いたので、もしや古老にこの伝説が聞けるかと、淡い思いで旧家を三・四軒回って伺ったが、結果は徒労に終わりました。



首切り地蔵
 (柳沢 記)

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