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 寺本東2丁目と昆陽南4丁目の境界道路に沿って昆陽井が流れている。
寺本東2丁目9-20の前に昆陽井に沿って細長い緑地があり、木々の間に二つの祠と少し大きな石碑が立っている。
 「おやまと侍」と伝えられている二つの祠は、「遊女と侍」が心中したあとを祀ったと伝えられてきた。小さい祠が「おやま」で大きい祠が「侍」ではないかと言われている。遊女と侍がどんなに好きあっていても、身分の違いから決して一緒にはなれない時代であった。二人はどこから来て、どこへ行くつもりだったのだろうか。周辺の村では二人の心根を憐れんで祀ったと伝えられる。現在の祠はコンクリートブロック製の比較的新しいもので、施錠されているため中にどのようなものが祀られているのか定かでない。
 二つの祠に挟まれた石碑は、「門の前の愛宕さん」と呼ばれている。形からすると、元々は村と村の境界地に置かれていた道祖神とも考えられる。
 この石碑の立つ周辺の村では、異なった話が伝えられている。
 一つは「いぼ」や「腫れ物」が出来た時、「はしか」にかかった時などにお参りし、治ったときにお供え物をするという民俗信仰の神であった。
 もう一つは、地域に疫病などが流行したさいに、この石碑を境界として疫病を向側に閉じ込めてくれると信じられて来た。

 (足立繁 記





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