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 猪名野神社から北へ向かう緑道が発音寺への登り道と交差する附近の下に瀧地蔵の祠がある。道路に張出した台座にコンクリートの大きな祠が座っている。祠は緑道より4〜5m低い位置にある。
 地域の有志で祀られ、参詣する人も多いようだ。昭和初期には花街勤めの女性の願掛け地蔵であったらしい。
 何故“瀧地蔵”と呼ばれているのか。それはかつて緑道が水路であり、この附近で下に落とし込んで滝のように水が流れ落ちていたことに因む。水路は加茂井と呼ばれ、絹延橋上流の猪名川から取水して川西市加茂地区を経て伊丹郷町の耕作地を潤す灌漑用水路である。その後宅地化が進み、灌漑用水の役割は終わって水路は暗渠になり、現在の緑道が整備された。これより加茂井は神社西側の堀跡を流れる。かつて水路に架かる清水橋という石橋があり、今もバス停に「清水橋」がある。瀧地蔵とともに加茂井の名残りである。

 (松田 記





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