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水車精米所跡(稲野3丁目)
 

 阪急稲野駅より塚口寄り線路の西側に建つマンション、植込みの囲いに八角の石臼を2段に積んであり人目を引く。ビルのオーナーに伺うと、明治期同地に酒造用の水車精米所があり、石臼は当時使用していたものであるとのこと。
  ・・・精米所は明治22年に創業、昆陽井川の水を引き入れ水車を回し、10キロ入り石臼20台 で玄米を精白した。同41年に英国製の石油発動機を導入して石臼の数も増え最盛期には50台が稼働し、石臼による精米は昭和の初めまで続いた・・・<御願塚ふるさとマップ 御願塚史跡保存会>
  伊丹には他に西国街道と多田道が交差する北村、猪名川左岸の旧中村に「水車房」の記号が地図に記載されている。
 伊丹は平坦地であるため十分な水流の落差が得られず、地形的に水車を稼働させるのには適さない。このため水車精米の導入は難しく、長らく人力による足踏精米に頼ってきた。
 一方灘地域は背後に六甲山系を控え、急流 の谷川は水車設置に最適であった。 18世紀後半から水車精米が始まり、最盛期の明治末期には200を超える水車精米所が稼働したといわれている。
 明治40年代以降に蒸気機関が導入されるようになって人力精米は終了した。御願塚の水車精米所は伊丹の数少ない水車精米所の1つである。                                 

   

(松田 記)
 
場所:阪急電車稲野駅近く

 
 
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