文化三年昆陽池附近絵図をみると、昆陽池の北側に大池守護神行波明神・善女龍王が祀られているのがわかる。 十八世紀後半の昆陽村および周辺村々の明細が記された昆陽組邑鑑(こやぐみむらかがみ)には以下の記述がある。
善女龍王石祠弐尺四方
行波大明神石祠弐尺四方
右両祠ハ行基時代昆陽大池開発之砌守護神として勧請仕候由申伝也、大池之北小松原両所ニ御座候・・・・・・・
さて現地を調べてみると、行波大明神は古地図の位置とおぼしき場所、大池橋北詰で健在である。なお「行波」とはこの附近の旧地名で、現在近くにある「中野行波公園」がその名を留めている。
いっぽう“善女龍王”は探しても見当たらず、あったと思われる場所は「中野明神公園」になっている。公園付近の旧地名は明神であり、おそらく以前に明神が祀ってあったことに由来するのだろう。
公園の裏側に現代風建物の妙興寺というお寺があり、その祠には新しい姿の白長大龍王が祀ってある。はたして善女龍王と関係があるのか寺に尋ねてみたところ、どうも関係はないらしい。