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今回は平成16年入会した9期生のNさんに、お話を聞いてみました。

【聞き手】

Nさんは何年に入会されましたんですか?
【Nさん】
平成16年です。9期生なんですよ。もう14年経ちます。かなりの古株になってしまいました。その年は12名が入会したんです。
【聞き手】
たくさん、入会したんですね。
【Nさん】
そうですね。現在在籍しているのはふたりだけですが。その中に女性が3人いて、3人ピンクレディなんて言われてたんですよ。(笑)
【聞き手】
入会されたキッカケは何ですか?
【Nさん】
京都にある美術系の大学を卒業してから、京都市埋蔵文化財研究所というところで発掘作業の仕事をしていたんです。京都市って、ほぼ全部が遺跡分布地図の上に住んでいるようなものなので、家や道路の建設工事が始まると文化財の名残が出ます。工事を一時ストップさせて、その間私たちが調査発掘をします。
【聞き手】
確かに、京都って文化財が多いですもんね。
【Nさん】
その研究所の近くには白峯神社、一条戻り橋、西陣がありました。
【聞き手】
安部晴明で有名な晴明神社もありますよね。
【Nさん】
そうです。安部晴明は奥さんが気味悪がったという魔物を一条戻り橋の下に住まわせたという陰陽師です。白峯神社は祀られている天皇が蹴鞠が上手だったということで、今では全国からサッカーが上手になりたい人たちが参拝に訪れているんです。その天皇は誰か知っています?
【聞き手】
クイズですか?いや、知りません。
【Nさん】
ヒントを出しましょうか?@後宇多天皇、A崇徳天皇、B後鳥羽上皇、さあどれでしょう?
【聞き手】
うぅん?分かりませんね。
【Nさん】
考えといてください。遺跡の発掘作業に携わっていた関係で、文化財には興味があったんですね。その仕事を辞めてから、伊丹の文化財ボランティアの会を知って、養成講座を受けたわけです。
【聞き手】
そうですか。美大を卒業されているのは聞いていたので、美大と文化財と結びつかないなと思ってたんですが、納得しました。ホームページの「伊丹にゆかりの人物」の中で原老柳の原稿を書かれていていますが、興味を持たれていたのですか?
【Nさん】
酒好きの医者というところかな。老柳は伊丹の酒をこよなく愛した人なんです。それで、郷町に住んで医者として開業していたんです。幕末の頃の名医と伝えられている人で、破傷風や天然痘の治療に貢献したそうです。「老柳の水盥(たらい)」と呼ばれる逸話があるんです。診療報酬の受け取り方が変わっていて、老柳の診療所の玄関には行水が出来るほどの大きな盥が置かれていたそうです。診療を受けた人が診療費や薬料の代わりに大根・米・麦などを品物で納めたんですが、お金で納める人は名前を書いた紙で銭を包み、水を張った盥に入れるんですね。時間がたつと紙は水に溶けて誰が幾ら払ったかが分からなくなる訳です。これだと病気や怪我の大小や患者の貧富の差に関係ないので安心だったのですね。そこには老柳の思いやりと、洒落っ気があったんでしょうね。
【聞き手】
美大卒業といえば、どんぐり座の紙芝居の絵を描いていたそうですね。どんぐり座に入られたきっかけは?
【Nさん】
同期生のTさんから、「桜物語を作り始めたところで、セリフは出来ているので絵を何枚か描いてもらえないか」と頼まれたんです。登場人物のエリザ・シドモアや高峰譲吉らの有名人は文献を参考にして描きました。その他の人物は服装や髪形の時代考証をしながら、金髪、ハゲ頭、ポマード頭に描き分けました。描いていて、面白かったですね。それから、どんぐり座に参加するようになったのです。
【聞き手】
どんぐり座では劇中のハーモニカも吹いてますね。昔から吹いていたのですか?
【Nさん】
いえ、これも同期生のYさんやTさんと3人で当時のI会長に弟子入りして、どんぐり座興行のBGMとして発表の機会をいただいたのです。AMハーモニカをI会長に譲っていただきました。ペープサート(紙人形劇)の「鬼貫」の場面で、鬼貫の息子永太郎が登場する時はCハーモニカの長調で奏でるのですが、永太郎が早死にする場面では同じ曲をAMハーモニカを用いて短調で奏でると効果的なんですよ。
【聞き手】
かなり、専門的な話ですね。「鬼貫」を観る機会があれば、注意して聴くようにします。現在、どんぐり座の活動はどうですか?
【Nさん】
毎月第3火曜日に例会をしていますが、新しいメンバーが入らないし、メンバーが高齢化しているので活動が難しくなっていますね。子どもたちやご老人が劇を観て楽しんでいる姿を見ると、やりがいを感じますよ。何とか、続けていきたいですが…。
【聞き手】
そういえば、ロマン体験学習の活動には積極的に参加していますね?
【Nさん】
子どもたちが上手に道具を使って物を作っているのを手伝うのが面白いんです。子どもは無邪気で面白いですよ。制作物が余っている時は、私も一緒に作ったりしています。
【聞き手】
今まで、特に印象に残っている体験学習はありますか?

【Nさん】
そういえば、平成22年に発掘作業を体験したことがありました。場所は猪名野神社南の宮ノ前です。ことば蔵が建設される前に、埋蔵文化財発掘調査が行われたんですが、ロマン体験学習として、子どもたちに発掘を体験してもらったのです。史料によると江戸時代に酒蔵があったところです。子どもたちはスコップ片手に発掘を体験していました。
【聞き手】
発掘といえば、京都での体験が活かされましたね。
【Nさん】
瓦、茶碗、お皿などのかけらが続々と出土したのを思い出します。その年の11月にも再度発掘体験がありました。最初は消極的だった子どもたちも作業を進める内に、徐々に積極的になってきて、熱中して土を掘っていたのが今でも思い出されますね。
【聞き手】
Nさんが文化財のガイドをしているイメージがあまり無いのですが、以前は良くガイドをされてたんですか?
【Nさん】
以前は良くガイドしてましたが。最近は母親の介護をしていることもあり、なかなか時間が合わないことが多いですね。
【聞き手】
老人の介護は何かと大変ですね。伊丹の文化財の中で、気に入っているガイド場所がありましたら、教えてください。
【Nさん】
そうですね、好きな場所はいろいろありますが、最近木曜班の市民ガイドで担当した「破戦道」が好きです。有岡城惣構の高低差が良く分かる場所ですし、有岡八景として詠まれた「真帆片帆 なにわあたりや 朝かすみ」の俳句は秀逸だと思います。この場所から見える軍行橋の橋げたが舟の帆のように見える錯覚が面白いんです。
 【聞き手】
ちょっと話が文化財から離れますが、伊丹に住まれて何年になります?
【Nさん】
生まれ育って18年、大学と就職のため京都に住んだのが20年、それから伊丹に戻って22年が経っています。
【聞き手】
伊丹での生活が長いのですね。伊丹で気に入っている店があったら、教えてください。飲食店、雑貨屋、美容院業種は問いませんが…。
【Nさん】
あまり飲食店で美味しい店は知りませんが、ヒロコーヒーのケーキは美味しいですね。それに、私、吉野家よりなか卯派、マクド派よりモスバーガー派ってところかな。(笑)雑貨屋では、キャンドゥ、セリア、ダイソー、3コインショップの比べ歩きなんかしています。
【聞き手】
私もハンバーガーはモス派です。最後に、人生最後に食べたい物は何ですか?

【Nさん】
美味しいブラックコーヒーを飲んで、香ばしい耳つきトーストをかじりたい。
【聞き手】
そうそう、白峯神社に祀られている蹴鞠が上手だったじんぶつ天皇って、誰ですか?後鳥羽上皇ですか?

【Nさん】
いや、崇徳天皇です。崇徳天皇ハンパネーって、ところですかね。
【聞き手】
なるほど。今日は、ありがとうございました。

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